フィレンツェで部屋を間借りしていたアパートの大家さんは、旦那さんが料理担当。奥さんが料理が苦手だから、結婚当初から旦那さんがつくっているときいた。
シチリアでホームステイした家でも旦那さんがつくっていた。イタリアの、得意な方がやるというスタンスが気持ち良い。
フィレンツェの旦那さんロマーノは、買い物にいくときは超小型車でスーパーへ。いつもびっくりするほど買ってくる。特にフルーツが大量で、こんなに食べ切れるのかといつも勝手に心配していたくらい。保存の利くものは、夏の間こしらえたトマトソースの瓶詰などと一緒に、ぎっちりきれいに食納庫に並べていた。
その代わり、奥さんのマリアはキッチンを毎日モップがけして、きれいに保っていた。この写真はテーブルの上がパンくずでいっぱいだけど、食後は片付く。
あるときキッチンにいくと、ロマーノがこれから得意料理をつくると、マリアが言う。
大量のなす、にんじん、ズッキーニ、玉ねぎ、これらをすべてゴロゴロなカレーの具のサイズに切る。それを、水とオリーブオイルで煮るという、ミニマルなつくりかた。
え?!塩さえもなし??これでどうなるのだろう、と思ったが。
出来上がったものを分けてもらって恐る恐る食べたら。
あら、美味しい!なんだろう、これは。野菜を単に茹でただけでは、ともすれば水っぽい味になるところ、オリーブオイルが入っているせいか、旨味がある。さらに塩気を感じないこともない。これもオイルのせいだろうか。
いくらでも食べることができて、からだも喜ぶ一皿。もし気に入らなくとも、ほかの味付けで挽回でき、試しても損がないのでぜひ。